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「たとえ、神にだって、俺は従わない」(キリコ・キュービー)
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死亡願望のインフィデル - Infidel with Death Wish - chapter07公開

ご無沙汰しています。
試験的に『死亡願望のインフィデル - Infidel with Death Wish - chapter07』を公開することにしました。
ブログに貼るだけなので読みにくいと思いますが、
お楽しみいただけたら幸いです。




chapter07 2010-10-12T15:13+04:30
 
  最低のドライブだった。
  ゴツゴツした岩、その上に面倒でクソ迷惑な砂が乗る悪路……
  下りの坂道。
  改造を施したスポーツ用多目的車《SUV》の馬鹿げた重さが、グリップの低いクソッタレなあの路面でもアクセルペダルを限界まで踏み込ませてはくれたが、残念なことに俺はダウンヒルレーサーでもなんでもない。
  ただのクソ狙撃兵だ。
  平地に入り目標建物正面に滑り込んだ時になって初めて、グローブの中で掌《てのひら》が汗塗《まみ》れになっていることに気づいた。狙撃《スナイピング》の時にだってこんなことにはならない。
〝なんてザマだ……〟
  まぁ、そもそも俺はこのクソ砂漠の運転が心底嫌いなんでね。そんなクソ料理《ディナー》に肝《きも》を冷やすようなダウンヒルなんぞトッピングされては不味《まず》すぎて汗も噴き出すって話だ。まだ本当の地獄《ディナー》には早すぎるしな。
  そう自分の気持ちに折り合いをつけているとドアの開く音が前方から聴こえた。
  既に停車していた先行車《アルファ》の運転席からスネイクが勢いよく飛び出す……
  ヤツは開けられたドア付近でニーリング。素早く周辺警戒ーー木にとまった鳥が周囲を見るように早く鋭角的な動きーーをするとすぐに移動、目標建物正面から九時方向、通りに面した角の壁面に背中を押し込んだ。
  下り坂の運転から今に至る一連の動作を全て涼しげな顔であのクソ野郎はこなした……いや、運転している時のヤツの表情を見れるはずもないんだが、スネイクのーー民間軍事会社《PMC》の雇われ兵士なんざ廃業して今すぐレーサーかなんかになるべきなーー高い運転技術《ドラテク》であればきっとそうに違いない。
  続いて俺も後続車《ブラボー》の運転席から降車。周辺警戒をしながらスネイクの横の壁面に寄りかかる。
  それを待っていたかのように、壁面から少し離れ十二時方向の通りを警戒し、スネイクが振り向くーー
  アイコンタクト。
  バレットM82A1対物《アンチ・マテリアル・ライフル》狙撃銃のフレーム前方にある二脚《バイポッド》を手早く展開した俺は、スネイクの左後ろで伏撃《プローン》ち姿勢《ポジション》ーー
  配置完了。
「ゴールドよりコゾフ1、集結地点《ポイントエコー》Eに到達。周辺の安全を確保。送れ」
  ジェイクからの返答はない。
「コゾフ1!聞こえるか?コゾフ1⁉」
  スネイクが困惑の表情で俺を見る。
  俺が肩をすくめると無線が入ってきた。
「すまないコゾフ7、感度良好。状況も確認した。ちょっとばかし想定外のことがあってだな……」
「何があったんです?」
  スネイクから当然の質問ーー
「合流したら説明する。ゴールドは現状維持」
  ジェイクの命令に俺が口を挟むーー
「コゾフ6です。ブリーフィング時に想定した状況と著しく異なります。我々が拾いに向かわなくても大丈夫ですか?」
  そう、この撤収案はあくまで目標建物内で全てが完結している前提ーーその上で分が悪い場合ーーのものだ。人質奪還作戦は失敗し、レッドチームも既に目標建物から離脱している。より早く撤収するなら直接SUVでレッドを迎えに行った方が早い。
「いや、数分前に8と4に合流した時なら俺もその意見に賛成だったんだが、さっき言った〝想定外〟の事案とはまた別件でーー」
「新手……ですか?」
  ジェイクの言葉を遮るようにスネイクが被せるーー
「肯定だ《affirmative》コゾフ7。走行音、武装車両《テクニカル》に兵員輸送車両《トラック》だろう……恐らく五両以上。もう間もなく肉眼で確認できる距離だなこいつは」
「ファック……」
  俺は反射的に呟《つぶや》きながらバレットM82A1のスコープを覗いた。遠方に薄っすらと立ち上がる砂煙……
「クソッ!キリがねぇぜ」
  無言でゆっくりと首を横に振る俺を見たスネイクが吐き捨てた。
「よって、繰り返しになるがゴールドは現状維持。レッドは可能な限り敵勢《ヤツら》を釘付《ピンダウン》けにしてから後退、そちらと合流する」
  一瞬の沈黙ーー
「フムン……」
  鼻を鳴らすスネイク。それを見ながら俺は返信した。
「ゴールド了解《roger》。こちらからも〝可能な限り〟迎撃するのでそのつもりで。ゴールド以上《out》」
  俺はMSA社製ヘッドセットを外し、首掛けにしながらスネイクに手信号《ハンドシグナル》ーー
〝口を噤《つぐ》め〟
  受けたスネイクもニヤリとしながらヘッドセットを同じように外す。
  耳を離れたイヤマフからジェイクの怒鳴り声が鳴り響いていたが、ボロいラジオのスピーカーから出てきたようなその音を俺たちは完全に無視した。
「あのオッサン、何か〝覚悟〟っぽいこと決めたみたいだな」
  スネイクが背嚢《バックパック》から砂漠色のネットを出しながら呟いた。
「格好つけやがってーー相変わらず漢気がそのまま戦闘服《BDU》着てるみたいなオッサンだぜ。ふざけんな、俺たちだけがクソ車のお守りなんてゴメン被りたいね」
  スコープを調整しながら俺も吐き捨てる。
「全くだ。そうとなりゃ出番だぜ、ボブ・ザ・ネイラー」
  動きを止めずスネイクが呟く。きっとニヤリとしながらだ……
「ハンターかよ、ボブ違いだねクソッタレ。残念ながら俺はスワガーじゃなくてエルズワースなんだがな?」
「おっとそうだった、失礼ミスター・ブリッツ」
  そう言いながらスネイクは左横に立つと、バックパックを前方の地面に転がし、俺にネットを被せながら自らも器用にその下に寝そべる……
「テンション高いな、スネイクの旦那《ダンナ》ーー」
「まぁな……」
  この男は興奮すると饒舌になる。正確に表現するならば〝感情をなるべく吐き出して冷静さを保つ〟作業ーー
「見ろよ、この通り《ストリート》……まるで『バニシング・ポイント』だぜ」
  先ほど転がしたバックパックに肘を乗せ、双眼鏡で通りの先を見ながらスネイクは続ける……
「残念ながらこっちに向かってくるのはダッジ・チャレンジャーじゃなくて、小汚いトヨタのクソ改造車《テクニカル》だがな」
「コワルスキーが軍勢でやってくるのかよ、AK吊ってターバンを巻いた?……笑えない冗談だぜ。ついでと言っちゃあなんだが、俺たちはあれに出てくるマヌケな警官共とはワケが違う」
  舌打ちしながら俺が答えるとスネイクは鼻で笑いながら言ったーー
「違ぇねぇ」
  そして、一瞬の間を空けて……
「それにしてもだ」
  スネイクの声は先ほどまでの少し浮かれたような響きから、急に重いものへと変化した……
「いつもの仕事《ヤマ》と違う特殊な残業にしたってよ、今日は短時間で同僚《仲間》が次々に死んだ。あっという間に……死にすぎだ。ここが俺たちの〝消失《バニシング・ポイント》点〟ってか?冗談じゃねぇ」
  建物の作りこそ違えど、確かに『バニシング・ポイント』のラストシーンを思わせる風景だった。だが、俺たちのSUVは当然あのブルドーザーみたいな使い方はできない……
  そして、スネイクの言う通り、同僚が次々と死に、その速度は止まるどころかさらに加速している。
  動揺と興奮を抑えようと悪態をついちまうのもさもありなんだ。
「兎に角、あっちは実質二人だし、そうそう食い止められんだろ。要はSUVさえちゃんと守ればいいのさ。オッサンには悪いが、好きにやらせてもらおうぜ」
  俺はスネイクの肩を左手で軽く叩いた。
「あぁ、その通りだーー」
  その返事から暫く、スネイクが軽口を叩くことはなかった。
  俺もヘッドセットを再び装着し、スコープから見える風景に集中する。
  イヤマフから音声は聞こえない。どうやらジェイクは諦めたらしい。
  バレットM82A1のボルトハンドルを右手で引き、スプリングの戻りを若干殺しながら、俺は前方に柔らかく初弾を送り込むーー
  あまり好きではないM82A1を何の気なしに選択したが、事の運びを考えれば当たり《ビンゴ》だった。嬉しくなんてこれっぽっちもないがね。
  ストックに頬付けするとあの最悪な感覚が蘇る……
  この銃《M82A1》はーー50calをぶっ放すんだから当たり前ではあるがーーリコイルが酷く、イヤマフをしていてもスプリングの振動と残響ばかりが頭に響く。さらにマズルブレーキから噴き出す発砲煙で視界は悪くなるわで兎に角〝色気〟に欠ける。
  とは言え、今はそんなことに拘《こだわ》っている場合ではない。
  俺は遠くに揺らめくクソ砂煙に集中しようとした。すると、少しの間黙っていたスネイクが口を開いた……
「喉が渇いたな」
  見ると、スネイクの口元にはハイドレーションシステムーービニールパック状の水筒と吸引装置一式の給水装備ーーのストローがある。時間的に中身が空なはずはない。
  俺は、この男の意図を汲むならば、これしかないという言葉を返したーー
「ブルックリン・ラガーなら俺の部屋で冷えてるぜ」
「あの味は好きだぜブリッツ、きっとモントリオールでもウケる」
  スネイクはリューポルド社製のスポッティングスコープを覗きながら口元だけをほんの少し上げた。
  そうだ、俺たちは仲間《レッド》を連れ帰り、シャワーを浴びてビールを飲むーー
  俺は視線をスネイクからスコープの中へ移しながら呟いた。
「当たり前だ。ブルックリン・ラガーはニューヨークでナンバーワンだぜ」
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